昭和24年「八幡バラバラ事件」|和田伝七と福岡・八幡市で起きた猟奇殺人
鹿児島本線の下を流れる、川幅わずか四メートルほどの小川だった。 水の中に沈んでいたのは、薦で包まれた大きな荷物。 一つではない。二つあった。 少年たちは、最初、それが何なのか分からなかった。 戦後間もない時代である。川にはさまざまな物が捨てられた。 生活ごみ。壊れた道具。廃品。 誰かが不要になった荷物を捨てたとしても、それほど不思議ではなかった。 「なんやろ、これ」 一人の少年が包みへ近づいた。
昭和・平成・令和に起きた事件を記録するノンフィクション・アーカイブ
鹿児島本線の下を流れる、川幅わずか四メートルほどの小川だった。 水の中に沈んでいたのは、薦で包まれた大きな荷物。 一つではない。二つあった。 少年たちは、最初、それが何なのか分からなかった。 戦後間もない時代である。川にはさまざまな物が捨てられた。 生活ごみ。壊れた道具。廃品。 誰かが不要になった荷物を捨てたとしても、それほど不思議ではなかった。 「なんやろ、これ」 一人の少年が包みへ近づいた。
五人はいずれも寝具の中にいた。 眠っているところを突然襲撃されたと考えられた。 頭や顔には激しい打撃を受けた傷が残っていた。 凶器として最初に使われたとみられたのは、玄能――大工仕事などで使う金づちの一種だった。 ところが襲撃の途中で、その柄が折れた。 普通ならば、そこで犯行をやめる機会があった。 しかし襲撃した人物は止まらなかった。
雪深い月岡温泉の一角にあった旅館「三好屋」。 その二階、十三番客室で、一人の女性が死亡しているのが発見された。 女性の名前は、星ツイ子。芸名を、万竜といった。 芸妓として働いていた女性である。 前日の一月十五日午後三時ごろから三好屋に滞在し、夜遅くまで客たちと同じ場所で時間を過ごしていた。 翌朝になっても、星ツイ子は起きてこなかった。 しかし、旅館側はすぐには異常だと思わなかった。