Kindleで出版しました 金子文子と朴烈事件: 『何が私をこうさせたか』現代語版と大逆事件・犯罪心理分析
「何が私をこうさせたか」 金子文子自身が残したこの言葉は、そのまま彼女の人生を考える問いでもあります。 1903年、横浜に生まれた金子文子。 幼いころ父に捨てられ、戸籍を持たない「無籍」の子として育ちました。 学校へ行きたくても、自由には行けない。 家族の中にも安心できる居場所がない。 やがて朝鮮の親族の家へ引き取られますが、そこでも厳しい生活が待っていました。 一方で、朝鮮人から受けた優しさや、植民地支配の現実にも触れていきます。 日本へ戻った文子は東京へ出て、新聞売り、露店商い、女中奉公などで生活しながら学び続けました。 そして1922年、一人の朝鮮人青年と出会います。 朴烈。 朝鮮の農村に生まれ、貧しい生活の中から学問を求め、日本へ渡った青年でした。 二人は恋人となります。 しかし、それだけではありませんでした。 「なぜ人間は人間を支配するのか」 「国家とは何か」 「天皇とは何か」 二人は思想を共有する同志にもなっていきます。 やがて話は皇室への攻撃や爆弾へと進み、朴烈は実際に爆弾を手に入れようと人に働きかけます。 しかし爆弾は届きませんでした。 実行日も決まっていませんでした。 襲撃も起きていません。 それでも、関東大震災後の混乱の中で拘束された二人は、やがて大逆罪で裁かれることになります。 思想だったのか。 準備だったのか。 それとも、すでに犯罪だったのか。 そして、金子文子はなぜ国家や家族制度、天皇制そのものを否定する思想へ進んだのか。 本書は朴烈事件だけでなく、一人の少女がどのように生き、考え、朴烈と出会い、国家と正面から衝突するまでになったのかを追った一冊です。
