見世物小屋の看板に描かれた赤面検事〜放蕩弟を絞殺した姉の裁判と大衆の正義〜
大阪で起きた、ある姉弟間の殺人事件の顛末を振り返ります。放蕩の限りを尽くし、親の位牌まで売り払って無心をする実弟を、限界を迎えた姉は手拭いで背後から絞殺しました。法廷では情状酌量の余地が大きいと判断され、「懲役2年・執行猶予3年」の温情判決が下されました。しかし、この事件には司法の枠を超えた意外な後日談がありました。後に検事総長となる当時の担当検事・中野並助は、懲役7年を求刑した自らの姿が、縁日の見世物小屋で「かわいそうな姉を責め立てる赤い顔の悪役」として看板に描かれているのを目撃したのです。司法が下した法的な結論と、大衆が求める直感的な「正義」の間に横たわる深い溝を浮き彫りにする、皮肉で数奇な事件の全貌に迫ります。