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金子文子『何が私をこうさせたか』|獄中手記・生い立ちと朴烈への道 現代文訳 100円(税込)

金子文子『何が私をこうさせたか』|獄中手記・生い立ちと朴烈への道 現代文訳

「何が私をこうさせたか――」 朴烈事件で知られる金子文子が、自らの人生を振り返り、その問いに答えようとした獄中手記が『何が私をこうさせたか』である。 金子文子の幼少期は、決して平穏なものではなかった。 複雑な家庭環境の中に生まれ、戸籍を持たない「無籍者」として育った文子は、学齢になっても当然のように学校へ通うことさえできなかった。父母との離別、貧困、家庭内の争い、親族との生活、そして朝鮮で経験した抑圧――。 幼い少女は、自分の意思とは無関係に決められていく人生の中で、何度も「なぜ」と問い続けることになる。 なぜ、生まれた家によって人間の扱いが変わるのか。 なぜ、金を持つ者と持たない者の間にはこれほど大きな差があるのか。 なぜ、ある人間が別の人間を支配してよいのか。 学校へ行きたい。ただ本を読みたい。ただ一人の人間として扱ってほしい――。 しかし、文子の前には家族制度、戸籍、貧困、男女の立場、社会的身分など、さまざまな壁が立ちはだかった。 やがて東京へ出た文子は働きながら学び、社会主義思想などに触れていく。そして、それまで自分が受けてきた苦しみが、単なる個人的な不幸ではなく、社会の仕組みや権力の問題とも結びついていると考えるようになった。 そうした中で出会ったのが、朝鮮人青年・朴烈だった。 二人は過去よりも未来について語り、自分たちはどのように生きるべきなのか、社会と権力にどう向き合うべきなのかを考えていく。 そして1923年9月1日、関東大震災が発生する。 混乱の中で警察に連行された金子文子は、予審判事から自らの過去について書くよう求められた。 こうして生まれたのが、この『何が私をこうさせたか』である。 本書に記されているのは、後世から見た「思想家・金子文子」の完成された姿だけではない。 父を慕った少女。 学校へ行けず泣いた子ども。 家族に翻弄された娘。 貧困の中でも学ぶことを諦めなかった少女。 そして、自分を支配するものに疑問を抱き、次第に反抗の思想へと向かっていった一人の人間の姿である。 金子文子はなぜ反逆者となったのか。 その答えを後世の人間が推測するのではなく、本人自身の言葉によってたどることのできる貴重な記録が『何が私をこうさせたか』である。

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