Kindleで出版しました 発禁本エロエロ草紙をAIで蘇らせる: 昭和5年の「上品なエロ」を、生成AIはどう読み替えたのか
1930年。 一冊の奇妙な本が作られました。 題名は、 『エロエロ草紙』。 作者は酒井潔。 裸体。 モダンガール。 カフェーの女給。 レビューの踊り子。 接吻。 恋愛。 浮気。 艶笑話。 外国の奇妙な風俗。 酒井潔が長年集めてきた「妙なもの」を、一冊の中へ次々と放り込んだような本でした。 酒井自身が目指したのは、 「上品なエロ」と「朗らかなナンセンス」。 ところが国家は、この本を面白いとは考えませんでした。 『エロエロ草紙』は発売前に検閲に触れ、発禁となります。 それから約100年。 時代は大きく変わりました。 社会も変わった。 男女の関係も変わった。 裸体や性表現に対する感覚も変わった。 そして、人間の言葉から画像を作り出す生成AIが登場しました。 そこで本書では、一つの実験を行いました。 『エロエロ草紙』に残された古い挿絵を、現代の生成AIへ渡したらどうなるのか。 すると、不思議なことが起こります。 ある絵は写実化できる。 ある絵は服を着せられる。 ある絵は構図が変わる。 そして、ある絵は生成そのものを拒否される。 もちろん、戦前の国家検閲と現代AIの安全基準は同じものではありません。 目的も制度も違います。 それでも、そこには共通する問いがあります。 「どこまでなら見せてよいのか」 という境界線です。 1930年には、人間の検閲官がその線を引いた。 2026年には、生成AIにも別の線がある。 そして、その線は時代によって変わります。 『エロエロ草紙』は、本当に猥褻だったのか。 それとも、性や恋愛や人間の欲望を笑いに変えたこと自体が、当時の社会には危険だったのでしょうか。 本書は、一冊の発禁本を入り口に、 酒井潔という異端の編集者。 昭和初期のエログロ・ナンセンス。 戦前の出版検閲。 モダンガールやカフェー文化。 そして現代の生成AI。 約100年離れた二つの時代から、「表現の境界」を眺めてみる一冊です。
