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昭和7年 玉の井バラバラ事件|お歯黒どぶに浮かんだ切断遺体と善意から始まった6年間  東京・玉の井 バラバラ事件 300円(税込)

昭和7年 玉の井バラバラ事件|お歯黒どぶに浮かんだ切断遺体と善意から始まった6年間  東京・玉の井 バラバラ事件

昭和7年(1932年)3月7日。 東京・玉の井。 私娼街として知られた町の一角に、「お歯黒どぶ」と呼ばれる汚れた溝があった。 その朝、ハトロン紙に包まれた大きな塊が水面に浮いているのを、一人の男が発見する。 最初は捨てられた乳児の遺体と思われた。 しかし警察が包みを開くと、中から現れたのは成人男性の胴体だった。 首がない。 両腕もない。 脚もない。 遺体は人為的に切断され、複数の場所へ捨てられていた。 被害者は誰なのか。 なぜ殺されたのか。 そして、なぜ身体を切断する必要があったのか。 捜査は50日以上続いたが、被害男性の身元すら分からない。 警察は保存していた頭部を埋葬し、墓へ現れる人物を監視するという異例の捜査まで行った。 そこへ菓子や果物を供えに来た一人の女性。 長谷川とよ。 だが警察はその場で彼女を取り逃がす。 事件が大きく動いたのは、そのさらに後だった。 一人の警察官が復元された被害者の顔を見て、 「以前、娘を連れて投身しようとした男ではないか」 と記憶を呼び起こしたのである。 被害者は28歳の万代虎次郎。 そして事件をたどると、約6年前の浅草へ行き着く。 腹をすかせて泣いていた8歳の娘・美代子。 その少女へ食べ物を与え、 「うちへ来ないか」 と父娘を自宅へ迎え入れたのが、長谷川市太郎だった。 最初にあったのは殺意ではない。 善意だった。 しかし共同生活は次第に崩壊。 貧困、失業、夫婦不和、家族への不信、乳児死亡をめぐる疑念、そして暴力。 6年後、市太郎と弟・末次郎は虎次郎を殺害。 遺体を約2週間床下へ隠した後、とよも加わって遺体を切断し、玉の井などへ遺棄した。 善意から始まった人間関係は、なぜバラバラ殺人へ変わったのか。 そして、誰にも分からないと思われた被害者の身元を、一人の警察官の「記憶」はどのように暴いたのか。 昭和初期の東京を騒然とさせた「玉の井バラバラ事件」を追う。

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