昭和2年 木田少将令嬢強殺事件 元陸軍少将の木田伊之助の娘 奪われた一本の時計
華やかな都市の裏側には、貧困、失業、窃盗、強盗、流れ者たちの影があった。 その昭和二年十一月、東京で一人の若い女性が殺害された。 被害女性の父親は、元陸軍少将の木田伊之助だった。 軍人として長く国家に仕え、少将まで昇進した人物の娘が、何者かに襲われて死亡し、さらに所持していた金品まで奪われていたのである。事件は単なる殺人ではなく、強盗殺人事件として捜査されることになった。 しかし、捜査開始時点で警察の手元に犯人へ直接つながるような決定的証拠があったわけではない。